毒書人のお奨め小説(夢の上 多崎礼)

2010年5月読了の中からのお奨め小説

 今回推薦する本と「天地明察 沖方丁」「ダンタリアンの書架 三雲岳斗」など、どの本を推薦しようかといろいろ考えたのですが、今回は書物狩人のシリーズを推薦する事にします。
 読書が好きな人なら当然本が好き。
 そして、本が好きな人だったら、本についての本も当然好き。
 では、その本が歴史の裏に関わる本だったら、考えるだけで、なんだかうれしくなってきますよね。
 世に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わずあらゆる手段を用いて入手する“書物狩人(ル・シャスール)”。その活躍を描く連作短編が、このシリーズです。
 ケネディ暗殺に関わった真実を記した本、ヴァチカンを揺るがす事実を書いた本、ナポレオンの読んだ本、中国政府が狙う古書、ゲルニカ空襲に関わる詩集と様々な本が登場しますが、その本を手に入れる為に代理人として登場するのが書物狩人です。
 主人公の書物狩人は、各国でいろいろな呼び方をされていますが、フランス語読みのル・シャスールと呼ばれるのが気に入っている銀髪の日本人?です。
 日本の大学教授としての肩書きもありますが、どうやらこれも偽名のようで正体は未だ明らかになっていません。
 表沙汰になれば歴史を政府を国を揺るがす本を求めて、相手の裏をかき合いながら本を求める人々、その裏の事情を解き明かし、ル・シャスールの美学のみに従い、欲にまみれた書物を求める人々を翻弄する。
 どの物語にも、書物に関わるミステリがあり、どの物語のラストにもル・シャスールの美学に基づくどんでん返しが用意されて、読後感もさわやかです。
 3作目にはついに書物狩人の宿敵とも言える贋作者“ミスター・クラウン”が登場し、物語は更なる書物の深奥へと進んでいくようです。
 私たちは知らないけれど、裏の世界では書物狩人がいるのは常識で、私たちは本当に知らないだけで、実際にはいてもおかしくないかもしれません。
 これはいくつかの物語を組み合わせて映画化しても、邦画の枠を超えて世界的に後悔してもおかしくない原作だと言っても良いと思います。
 現在「書物狩人」「書物迷宮」「書物法廷」3冊が新書版で刊行中で第1作の「書物狩人」は文庫化されていますので、是非読んでみて下さいませませ。

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作者【多崎礼】について

 、時が流れたわけです。
 本屋でこの作者を見かけると、とりあえずあらすじを読んで面白そうだったら買うということで、新刊チェックをする作家の一人になっていったわけです。

この作者の代表作について

 この作者の作品を全て読んでいるわけではないので、これだと言い切る事はできないが今後も書き続けてライフワークにしてもらいたい作品です。

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